セグレ埋め込みと射影多様体の積(1)~代数幾何学~
https://jijtech.hatenablog.com/entry/2020/11/13/105951
から続きます。
射影多様体の積
いよいよ、射影代数多様体の積を定義します。任意の準射影多様体及びについてセグレ埋め込みによって直積集合としてのに位相構造を入れたものが、射影多様体の積です。まず、の閉集合に対しは閉集合であることを示しましょう。
証明:
が成り立つので、という形の集合が閉集合であることを示せば充分である。しかし、とが同値であることにさえ注意すれば明らかに、の閉集合
また、が局所閉ならが局所閉であることも容易に確認できます。
証明:
任意の準射影多様体は局所閉だから、閉集合を用いて
と書ける。
次に、局所閉集合に関する節で述べたように、局所閉集合の閉包が既約ならば、これは準射影多様体であることが言えます。よって、閉包を考えることでが既約の時にが既約であることを言えば良いことが分かります。
命題:
位相空間は、既約なら連結である。
証明:
背理法により示す。が連結でないと仮定すると、に真に含まれるような開かつ閉なる集合が存在する。は空でなく、開かつ閉であってとなる。
命題:
局所既約(任意のに対し、既約な開近傍がとれること。既約集合の開部分集合は既約だから、これはの各近傍が既約な近傍を包むことと同値である)な位相空間に於いて、既約成分は開である。
証明:
既約成分に対しを任意にとると、の既約な開近傍がの中でとれる。は空でなく、の中では既約成分である。これは以下のようにして分かる。を真に含む既約集合がの中にあるとする。ならば何も言うことはないが、そうでないならば閉集合は空でない。その閉包はで、つまりが既約でないことになる。これは矛盾。従って、即ちを得る。これはが開であることを示す。
命題:
局所既約な位相空間に於いて、連結成分であることと既約成分であることは同値である。
証明:
の連結成分は、全てのと交わる開かつ閉である集合に含まれる。よって特にと交わる既約成分をとると、が局所既約だからそれは開かつ閉であることにより、それに含まれる(適当にをとり、それを含む既約成分をとれば良い。その存在は既に示している)。既約なら連結であるから、の極大性によりは既約でなければならない。故に、連結成分は既約成分である。逆はこれより明らか。
命題:
位相空間に於いて、既約な開被覆があってそれらの共通部分が空でないならば、は既約である。
証明:
既約なら連結であるから、連結な集合族の共通部分が空でないなら合併も連結であることにより、は連結である。また、は局所既約でもあるから前命題により既約である。
では最後に、既約集合のセグレ埋め込みが既約であることを示しましょう。
証明:
とし、一般性を失わずに、及びを仮定する。セグレ埋め込みの中では開集合だが、これはと同型。従っては、アファイン多様体の時の議論により既約。つまり、のアファイン開被覆がとれている。さらに、共通部分は空でないのでは既約である。
参考:
[1]http://home.p07.itscom.net/strmdrf/set07.htm
[2]ハーツホーン-代数幾何学1
[3]https://arxiv.org/pdf/1411.5901.pdf